こんにちは、吟世かいなです。
今回はBMS製作初心者の方に向けて、ぜひ実践してみて欲しい工夫を紹介します。
製作の流れに沿って順に書いているので、必要なところをかいつまんで読んでください。
「譜面は別の人にお願いする!」という方は音切り編に書いてあることを実践すると、スムーズに製作できると思います。
またクオリティアップのためのTipsは★マークで示しています。
すべて実践する必要はありませんが、できる限りやってみると質の高い作品が作れるでしょう。
Macユーザ向けの情報
以下のページを随時更新します。
使うソフトウェア
ほぼ必須ソフト
- LR2/beatoraja/QMS-playerなどのBMSプレイヤー
BMSプレイヤー。正常に再生できるか確認するために使います。
音切りしたあと、少なくともLR2, beatorajaの2つで再生できることを確認すると良いです。 LR2 DL: LR2 internet ranking beatoraja DL: Mocha-Repository : Home - Mid2BMS DLページ など
DAWから書き出したMIDIファイルを元に音切りを自動化できるソフトウェアです。 - µBMSC DLページ
BMS作譜ソフトウェアです。最新版のubmsc.zipをDLしましょう。 作譜ソフトにはBMSEもありますが、便利なのでこちらがおすすめです。 - mBMplay DLページ
作譜したBMSのプレビューを行うソフトウェアです。mBMplay本体をDLしましょう。 - oggdropXPd DLページ
使い方1: 非可逆圧縮音楽、最響?な「Ogg Vorbis」を使ってみよう♪
音切りした単音wavファイルをoggに変換するソフトウェアです。
あると便利なソフト
- BMX2WAV DLページ
BMSをwav, oggに変換する(いわば逆音切り?)ソフトウェアです。 - Volt DLページ
一括で音量調節をするのに便利なソフトウェアです。 - SoundEngine free DLページ
末端の無音部分を削除するのに使います。wavの容量が削減できます。
準備編
どのBMSイベントに出す?
2021年現在、製作されたBMSはイベント (以下BMSイベントと呼びます) に登録されることがほとんどです。
馴染みのない方にはニコニコ動画の「動画投稿祭」や、ゲームジャムのようなものと説明すると伝わりやすいでしょうか。
小規模なイベントでは20作品、BOF系列のような大規模イベントでは数100作品が登録され、お祭りのような雰囲気です。
ほとんどのBMSイベントでは、各作品に対してプレイヤーが得点付きの感想 (インプレ) を投稿できるため、作品を遊んでもらいやすく感想も貰いやすい嬉しいものになっています。
q/stolさんの解説 もぜひお読みください。
それではどのようなBMSイベントが開催されているのでしょうか。
そこで BMS EVENT LITE さんを見てみましょう。
表で緑色になっているのが開催中・登録期間中のイベントです。
また各BMSイベントは「こんな譜面限定」「こんな曲限定」「チーム制」といった制限が設けられていることが多いです。
Description欄や、リンクからアクセスできるイベントの公式ページの注意事項を読んで、どんな制限があるのか確かめておきましょう。
また登録期間に先立って事前登録が必要なイベントもあるため、要チェックです。
「う〜ん多すぎてよく分からない……初心者が気軽に登録できるイベントってある?」
……そんなあなたには MUMEI Academy (旧・無名戦; 自称無名BMS作家が物申す!) をおすすめします。
数あるBMSイベントのなかでも、BMS初心作家の作品を一番遊んでもらいやすいです。
しかも同期のBMS作家さんと仲良くなれるチャンス! ぜひTwitterなどのSNSで交流を深めちゃいましょう。
ありがたいことに毎年開催されており、例年6月末から登録期間が始まります。
「点数がつくの怖いなあ、でも感想が貰えるイベントはある?」
「BMSをたくさん作るぜ」、「BMSをいっぱい作る」 系列のイベントがおすすめです。
こちらは2021年度の開催は未定です。 例年12月中頃が登録期間にあたります。
ぜひあなたの作品でBMSイベントを盛り上げてください!
BMSプレイヤー、BMS作家としてあなたの作品を楽しみにお待ちしています。
BMSイベントに出さない選択肢も
ここまでいくつかのBMSイベントをご紹介しましたが、必ずイベントに登録する必要はありません。
たとえば専用サイトのpupulyさんに登録したり、TwitterにDLリンク付きでツイートしたりしましょう。
pupulyはインプレの投稿機能があるので、感想が貰えるとちょっとうれしくなります。
こうしたイベント外で公開されたBMSは、BMSちゃんが捕捉、データベース化 (BMSChan Database)するほか、
空読無 白眼さんがブログにてイベント外BMS紹介という記事をまとめられています。
こういったところでプレイヤーの目に留まり遊んでもらえる……といった感じでしょうか。
登録する時期が決まったら
ここまでで登録したいイベントが見つかったら、それにあわせてBMS製作をはじめましょう!
初めての製作では音切りに1週間くらい掛かるかも、と思ってスケジュールを立てるのが賢明かなと思います。
それではどうぞお付き合いください。
作曲編
音切りのしやすい作曲をしましょう。
複雑な曲を音切りするのは大変なので、はじめのうちは音切りしやすい曲を作るのがおすすめです。
特に音切りにMid2BMSなどMIDIファイルを利用する音切りソフトを使う場合、オートメーションなどmidiに反映されないパラメータを使うのはおすすめしません。
詳しくはBMSをたくさん作るぜ'20 - HOW TO MAKEなどが参考になります。
BMSに使う音源は必ず44.1kHz, 16bitで書き出しましょう。
それ以外で書き出した場合、BMSプレイヤーで正常に再生されないことが多いです。
音切り編
心構え
音切りの練習をしましょう。
いきなりイベントに出す曲を音切りするとつまづくかもしれません。
まずはすでに作った曲や、短い曲・トラック数の少ない曲を作って、音切りを練習し、作業の流れを理解しましょう。早めに音切りしましょう。
慣れていない人が一人で音切りすると平気で1週間くらい潰れます。
余裕をもって音切りをしましょう。参考にするBMSを見つけましょう。
好きなBMSを予めダウンロードして、音量やフォルダの中身を参考にしましょう。
知っているBMS出身の曲があれば、「(曲名) BMS」でググるとDLページに飛べると思います。
……と仰々しく書きましたが、音切りは仕組みが分かればそれほど怖くないです。まずはやってみましょう!
★どのトラックを音切りするか?
迷ったら(定義数に収まる範囲で)全トラック切りましょう。 ←本当か?
アタックが強い(発音までに時間のかからない)音は演奏感が出るので切りましょう。
たとえばリズム隊、メロディー、アルペジオは間違いなく音切りした方が良いです。
声ネタは丸々キー音にするのではなく、数分割すると演奏感が出ます。
音切りしなかったトラックは、まとめてBGM音源化しましょう。
音切りするトラックの取捨選択については、qfeileadhさんのnoteが参考になります。
BGMに回す音は、ベース、アタックの遅いPad系の音(バッキングのストリングスなども)、RiserやSweepなどのSFX系、リバーブ・ディレイなどのセンド類といった具合にすると良い感じです。
音切りの仕方
音切り用のツールはMid2BMSをメインに使うことをおすすめします。 機能が充実しており強力なツールであるのはもちろん、BMS作家のなかでも使用者が多いため困ったら相談しやすいです。
Studio One+Mid2BMSでの音切りをまとめました。 スライドで使用したプロジェクトファイル、MIDIファイルなどはすべてGoogleドライブにまとめたので、適宜参考にしてください。
詳細な使い方は例えば:
- Mid2BMS Wiki
- 東京工業大学デジタル創作同好会 - FL StudioとMid2BMSを用いた音切り(2019 update)
- BMSをたくさん作るぜ'20 - HOW TO MAKE
- BMS制作フロー001
- しらいしのBMS置場 - 【初心者なりのmid2bms】講座
などが参考になります。
Mid2BMSは全トラック一気に処理できる点が魅力ですが、初心者のうちは1トラックずつ音切りするのも手です。
キー音にしない、つまりBGMに回したトラックはまとめてwav形式で書き出します。
1分を超える音源を定義したBMSはLR2IRに登録できないため、BGMは1分を越えないよう3〜4分割しましょう。
BGMの切断、配置はWoslicer II/IIIを使うか、DAW上で切ってBMS作譜ソフトで配置しましょう。
Woslicer IIIの使い方はぷるれこ - BMSの作り方part2(音切り・仮配置編)が参考になります。
直近に公開された音切りツールには他に、
などがあります。(プナイプナイえんそう、BMHelperとWoslicerを足した感じみたいなので一回使ってみたい……。)
音切りに失敗したら?
Mid2BMSのエラー対処は公式Wikiが参考になります。
★ノーツの整理をしよう
音切りをするトラックが多いと、BGMレーンからオブジェがあぶれ、譜面レーンに配置されていることがあります。
BMSをµBMSCで開いた後、#PLAYER 3に設定し、譜面レーンからオブジェをBGMレーンに移しましょう。
★両端の無音部分を削除しよう
容量削減のため両端の無音部分は削除することをおすすめします。
無音部分削除をするときは、作業前にバックアップを取りましょう。
Soundengine freeを使い、単音wavファイルの無音部分を削除しましょう。
使い方はBMS制作のすすめwikiの使い方紹介ページが参考になります。
音量調節は次に紹介するVoltを使うことをおすすめします。
★音量調節をしよう
音量が小さいことが原因で減点される作品も少なくありません。
すでに世に出ているBMSの音量を頼りにして、次の手順で音量調節してみましょう。
こちらも作業前にバックアップをとっておきましょうね。
- 参考にするBMSをBMX2WAVでwav化する
- 今作っているBMSを同様にwav化する
- Voltで聴き比べる
- すべてのキー音の音量を一括で微調整する
- もう一度BMSをwav化し、聴き比べ、微調整……
- 最後にBMSプレーヤーで再生し、他のBMSと聴き比べ、微調整……
うう……果てしない……。
★ogg化しよう
できるだけ容量を削減するため、キー音はogg化することをおすすめします。
wav音源でないと無音部分削除・音量調節ができないので適宜頃合いを見計らってやりましょう。
ogg化したあとBMSファイルの定義を.wavから.oggに書き換える必要はありません。
IR割れの原因になるので、むしろ書き換えないことをおすすめします。
詳しい説明はShimi9999さんのブログが参考になります。
もし譜面のIR割れが心配になった場合は、BMSHashUtilを使いMD5をチェックするとよいでしょう。
譜面・画像編
µBMSCの使い方
同じくBMS作譜ソフトウェアには昔からよく使われるものにBMSEがありますが、この記事では使いやすさの観点からµBMSCについて紹介します。
使いやすい設定
UIの言語
表示言語を日本語に変えましょう。 メニューバーのOptions→Language→日本語と選択。テキストエンコーディング
BMSプレーヤーで再生するときに文字化けしないよう、標準のテキストエンコーディングを変更します。 設定→一般設定と選択。ポップアップウィンドウ一番上をSystem ANSI(日本語Shift-JIS)に変更。mBMplayの紐付け
µBMSCからプレビューソフトであるmBMplayを呼び出せるよう紐付けします。
【BMS】uBMSC簡易トラブルシューティング(発狂PMS勢向け)が参考になります。「オブジェを縦移動させない」チェックボックス
作譜の際にオブジェを縦に移動させてしまい、あわわ……となることを防ぎます。 この設定だけ起動する度にリセットされてしまうので、毎回チェックをいれましょう。BGMレーン数の変更
「オブジェを縦移動させない」チェックボックス下のExpandをクリックすると現れる項目から変更できます。レーンの表示・非表示切り替え
作譜の際に不必要なレーンは非表示にできます。スプリッタ
特に繰り返し同じようなパターンを配置するときに便利です。縦横幅の拡大縮小
右パネルのつまみを動かすと縦横に伸び縮みします。
タイトルなどの設定の仕方
タイトルなどは右パネルで設定できます。 設定した方が良い事項とその意味はBMS制作のすすめ - BMSについてを参考にしてください。
BGI/BGAの設定の仕方
- 右パネル「拡張命令」ボタンをクリックする
- 出てきたテキストボックスに画像を定義
- メニューバー下段から鉛筆ツールに切り替え
- WAV定義欄のなかから、配置したいファイルと通し番号が同じ行をクリックし、BGA, missレーンなどに配置
たとえば画像を配置する場合は、
#BMP01 BGI.png #BMP02 miss.png
と設定し、#WAVの"01: …….wav"の行をクリックして、BGAレーンの0小節あたまに配置。
また映像を配置する場合は、
#BMP01 BGA.mpg #BMP02 miss.png
など。もちろんファイル名、配置する位置は自由に変えられます。
動画は曲が始まる1小節前から始めるなど余裕をもたせておくといいです。
★beatoraja用の高画質BGAを配布する場合
MALVA.さんのウェブページが参考になります。
★譜面ファイル側の定義
LR2の方を定義する。(例 BGA.mpg)
☆同梱させるファイル定義
共通ファイルネームにする。(例 LR2⇒BGA.mpg oraja⇒_BGA.mp4)
oraja側は上記優先度の一番高いmp4推奨。
こうすることでLR2は普段の読み込みをしつつ
beatorajaは優先度による読み込みが行われ各動画ファイルが読み込まれるようになる。
その他の画像ファイル
次の3種類の画像ファイルは余裕があれば準備しましょう。
STAGEFILE(優先度・中)
PMSだと背景画像になったりします。一部のスキンだとリザルトの背景画像になります。 beatorajaだと選曲画面で表示されることが多いです。
アスペクト比を4:3に設定すると見栄えが良いです。BANNER(優先度・中)
選曲画面に表示されます。300px x 80pxにしましょう。BACKBMP(優先度・低)
プレイ開始前のデータロード時に表示される、いわゆる本家のタイトル画像・特殊フォントに当たるものです。
(実は特定のスキンでタイトル画像として使われている……のですが細かい事情は省きます。) 発狂難易度表だとHAPPY☆LUCKY☆BABY, Candy & Baguetteなどをイメージするといいでしょうか。
.REDのskin置き場 BACKBMPについてが参考になります。
298x349のbmp、png、jpg(但しjpgは画質的な面で非推奨)
原則、黒背景に白文字。他の色で文字以外の何かを描く場合は灰色推奨(スキンオプションによっては色が反転するため)。透過設定は不要です。
譜面づくり
なさの雑記 - BMSにおける「譜面」について 以上のことが書ける気がしないのでなさ式さんにすべてを委ねます。
テストプレーのすすめ
テストプレーする際はIRに送信しないよう、PCをネットに繋がないようにしたり、IRの接続を切ったりしましょう。
正規譜面で押しづらい配置がないか、MIRRORオプションでプレイサイド差がないか、RANDOMをかけて正規よりも面白い配置が降ってこないか……などを確認するといいです。入念にテストプレーしましょう。
また友達にテストプレーをしてもらい、難易度が適切か、楽しい譜面かどうか聞いてみるのもいいかもしれません。 友達にもIRに送信しないよう伝えてくださいね。
配布前に確認すること
Mid2BMS Wiki - 公開前チェック表にもまとめられていますが、他にはこんなことを確認するとよいでしょう。
配布する手段を考える
イベントに登録するBMSは、DropboxやGoogleドライブの共有機能で配布します。
そのため事前に作曲者名義のアカウントを取得しておきましょう。
Googleドライブの共有機能で配布する場合、共有先を「リンクを知っている人全員」にします。
自分のホームページがある場合はそこにアップロードしても良いですが、アクセス数制限のため直リンクを禁止していることがあります。サーバの利用規約を確認しましょう。1分以上の音源がないか確認する
1分以上の音源があるとLR2のIRに登録できません。難易度表登録の支障になったりするので避けましょう。
特にBGMの各音源が1分以上になっていないか確認しましょう。差分チェッカーで確認する
キー音の発音位置が譜面ごとにズレていないか確認しましょう。
Mid2BMSで確認するのが手早いでしょう。IR割れしていないか確認する
ogg版とwav版のようにBMSを別個に配布する場合はBMSHashUtilを使ってMD5の値が同じかをチェックするとよいでしょう。★readme.txt をつける
これは必須ではありません。雰囲気は「小説のあとがきのようなもの」と考えれば分かりやすいでしょうか。
BMSの曲コメント、各譜面の難易度、世界観を書いてみましょう。他には苦労したこと、思い出話などを書いても面白いかもしれません。
テキスト形式ならばLR2, beatoraja本体から直接読むことができますが、ANSI (Shift_JIS) エンコードでないと文字化けします。
せっかく書くなら文字コードはANSIにしましょう。
ちなみにLR2では選曲画面でREADTEXTボタンを押すことで、beatorajaでは選曲画面でキーボードの9数字キーを押すことで読めます。 またBMSをイベントに登録する際、コメントを書く必要があることが多いです。readmeをコピペすれば一瞬ですね。
ちなみに僕はreadmeを読んでからインプレするようにしています。
おわりに
以上かなりの長文になりましたが、素敵な作品を作る一助になれば幸いです。
内容は適宜更新予定ですので、気が向いたら見返してもらえると嬉しいです。
みなさまの素敵なBMSを楽しみにしています……! ご健闘を!!